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2023年2月13日【特集】

東京都に訊く、未来を見据えた〝100年プロジェクト〟

NEXT MOBILITY編集部

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東京ベイエリアに50年、100年先の東京の姿を描く

 

――東京都が立案した東京ベイeSGプロジェクトは実に壮大な計画ですね。

 

山本 ▶ プロジェクトの最終目的は、東京のベイエリアに描く50年、100年先の東京の姿であり、我々は遥か先を見据えた未来都市の創造を目指しています。

 

翻(ひるがえ)ってみれば通常、行政や県庁などが打ち出す長期計画は、5年・10年単位が多い。と言うのは10年単位であれば、ある程度社会環境の推移も見通し易いからです。

 

しかし、気候変動といった歴史的な転換点を迎えている今こそ、直面する様々な危機を乗り越えたその先を超えた未来を見据えていく事。

 

そんな遥か遠くを俯瞰し、子供たちに明るい将来を残すべく、我々は全く新しいプロジェクトを始めたのです。

 

 

――具体的にどのような危機を想定しているのでしょうか。

 

山本 ▶ 現時点では、3つ大きな危機を想定しています。まずその1つが〝気候変動の危機〟です。今後も、私たち人類が具体的な切迫感を持たず、いたずらに時を消費し続けて行けば気温上昇は下げ止まらず、早晩、深刻な環境危機を迎える事態となります。

 

 また別の切り口では、新たな〝感染症の危機〟がいつか到来するかも知れません。今の新型コロナウイルス感染症は、いずれ克服されるでしょう。しかし私たちが地球上の生態系の一員として生活する限り、新たな感染症の危機からは逃れられないのかも知れません。

 

 加えて、2022年に顕在化したロシアのウクライナ侵攻に伴う〝エネルギー危機〟も、私たちが直面したリアルな現実です。目下、この危機が今日のエネルギーコストの高騰に繫がっています。こうした危機にも対処出来ないと明るい未来は残せません。

 

 では私たちが一致団結して、このような危機を乗り越えたその先で、未来の子供たちが住んでみたい、暮らしてみたい東京の姿とは一体どのような都市なのだろうかと考え、その結果を皆で共有して、現在の東京へ実装して行こうとする取り組みが今回の〝東京ベイeSGプロジェクト〟です。

 

 例えば、気候変動問題で、今後、全く何も対処しないのであれば2100年の東京の平均気温が40度超になり、800hPA( ヘクトパスカル )台という猛烈な勢力の台風が到来するとした試算があります。

 

こうした危機に、どう対応すれば良いのか。そのためには今から、様々な危機に強い都市づくりに取り組まねばなりません。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。